昭和の「三種の神器(3C)」といえばカラーテレビ、クーラー、カー(車)でした。今でこそエアコンと呼ばれ、一年中必要なものとなりましたが出始めのころは夏の涼をとるものでした。
クーラーは1902年米国の技術者ウイルス・キャリアによって発明されました。当初は工場の湿度管理が目的でしたが、その後家庭用として普及し、日本では高度経済成長期の1960年後半から急速に一般家庭へと広まりましたが、それまでの涼をとる道具としては扇風機、さらにさかのぼると団扇と扇子になります。
団扇の原型は中国の周時代に貴族が日差しや顔を隠すために使っていた道具で、これが日本に伝わり宮廷の貴族たちが儀式や装飾用として愛用しました。やがて庶民の間にも広がり風を送る道具だけではなく「邪気を払う縁起物」としても使われてきました。

その一方、扇は平安時代の日本で生まれました。紙が貴重だった当時宮中の男性が礼儀作法のメモとして薄い木の板を束ねた「檜扇」が起源です。その後中国を経由してヨーロッパへ渡り、貴族階級のファッションやコミュニケーションツールとして大流行しました。
一方、日本における扇子は日本の礼儀作法に大きくかかわるようになりました。和室などの礼儀作法において、扇子を自分の前に置くことにより、自分と相手の間に境界線(結界)を引き、相手を拒絶するためではなく、互いの領域を尊重し、敬う(自分が一段下がる)ための大事な道具として扱われるようになりました。
3月から続く米国・イスラエルとイランをめぐる緊張は6月で4か月を迎えました。この間戦争が拡大するとの報道が流れるたびに世界の株式市場は下落し、停戦への期待が高まるたびに買い戻されるという神経質な値動きを繰り返してきました。
そんな中日本市場では日経平均株価が6月16日取引期間中初めて7万円台を付け、更に19日には終値でも7万円台を付けました。世界情勢への警戒を抱えながらも日本企業の業績や人工知能、半導体関連を中心とした技術革新への期待も相まって日本経済を力強く押し上げました。

もちろん、市場が強さを取り戻したからといって、戦争そのものが解決したわけではありません。経済は平和の上に成り立つものであり戦火が続く限り不安は世界中に残ります。日本の作法にある「境界線」は争うためではなくお互いを尊重するために引く一本の線です。もし各国の指導者が一本の線を相手への敬意として引くことができるなら、対立はやがて対話へと変わるかもしれません。
トランプ大統領をはじめ関係国の指導者が「戦争」ではなく「境界線」を置き、互いを尊重しながら対話を重ね、一日も早く平和な世界を取り戻してくれることを願ってやみません。
因みに扇子を使うときは、顔の前を避けて胸の下から顔の下あたりで行い、仰いだ風が、隣の人や目の前のいる人に届かないようにするのが作法です。戦争関係者、少しは日本の作法を学んだら如何なものでしょうか⁈


