今年の5月は例年にもまして暑い日が続きました。5月17日には東京都心で今年初の夏日(30.2℃)を記録するなど、5月中旬から下旬にかけて全国的に真夏日を記録する地点が相次ぎました。
日差しも強く町を歩く人々の中にも帽子を被る姿が目立ち始め夏の訪れを感じさせる月となりました。帽子の歴史は非常に古く、古代エジプトでは王族や神官が権威の象徴として頭部を被い、古代ギリシャやローマでは日差しから身を守るものとして被り物が用いられました。
中世ヨーロッパになると帽子は身分や職業を表す重要な道具となり、近年に入るとシルクハットやポーラーハットなどが紳士の象徴として普及しました。日本でも笠や陣笠などが古くから使われ農作業や戦場で人々を日差しや雨から守ってきました。又、平安時代から現代にかけて和装での礼服着用の際被る烏帽子と呼ばれる帽子もあります。

時代によって形や素材は変化しましたが帽子の役割は大きく変わっていません。それは頭を守ることです。もちろん装飾品としての役割もありますが、強い日差しや突然の雨、時には寒さや風から身を守るために人々は帽子を利用してきました。人類の長い歴史の中で帽子は単なる装飾品ではなく、自分を守るための知恵として発展してきたのです。
5月29日、日経平均の株価の終値は6万6329円となり史上最高値を更新しましたが5月の市場は、投資家にとって決して平穏な一ヶ月ではありませんでした。米国では景気動向と金利政策を巡る思惑が交錯し、株式市場は上昇と下落を繰り返しました。
さらに追い打ちをかけたのが中東情勢やウクライナ情勢などの地政学的リスク、トランプ大統領の発言も意識され、市場参加者は常に不安材料と向き合うことになりました。日本市場も同様です。確かに終値は6万5千円をあっさりと超えていますが、千円超えの値上げの後は千円超えの下落と、堅調な場面を見せながらも海外市場の影響や利益確定売りによって大きく値を下げる日もありました。

為替市場ではドル円相場の値動きが大きく、そこへ片山財務大臣の「必要に応じていつでも対応する」が足枷となり短期売買を行なう投資家にとっては方向感を見極めるのに難しい局面が続きました。市場には常に利益を求める期待と、損失を恐れる不安が存在します。
どれほど経験を積んだ投資家であっても未来を完全に予測することはできません。そのため投資家は利益を追うだけではなく、自らの資産を守る為の備えを持たなければなりません。市場は晴天の日ばかりではありません。突然の暴風雨のような急落や、強烈な日差しのような過熱相場が訪れることがあります。
そんな時投資家を守るのが資金管理や損切りルールでありいわば市場における帽子の役割を果たしています。市場が順調な時は帽子の存在を忘れがちですが、しかし本当に帽子が必要になるのは強い日差しの元市場が荒れた時です。5月の市場は正に帽子の必要性を改めて感じる一ヶ月であったと言えるでしょう。

