山桜の写真

年々桜の開花が早まるようです。今年の東京は3月14日、『風さそふ花よりもなほ我はまた春の名残をいかにとやせん』と辞世の句を詠んで浅野内匠頭が切腹したのが3月14日その日は桜吹雪であったと言いますが、これは旧暦の為、今の暦に直すと4月21日となります。従って3月中に満開となると300年の昔に比べるとずいぶん早くなっていると言えます。

先月も書きましたが鬼平犯科帳連載第二回目に「本所・桜屋敷」といった物語があります。これは過って平蔵と盟友左馬之助が剣術の稽古に励んだ若かりし頃、道場の隣に桜屋敷と呼ばれる山桜が見事な屋敷があり、当主の孫娘「ふさ」に二人は思いを寄せていました。

二人の思いは通じずやがて「ふさ」は嫁ぐことになるのですが、あるときこの「ふさ」が盗賊の一味であるとの情報がもたらされます。捕らわれて白洲での吟味が終わり、過っての面影がない「ふさ」をみて驚愕の表情をみせる左馬之助に平蔵が語った言葉が、(女性の方には大変失礼かと思いますが原文のまま)『女という生き物には、過去(むかし)もなく、さらに将来(ゆくすえ)もなく、ただ一つ、現在(いま)のわが身あるのみ、、、』この後何とも言えない結末がありますが興味のある方は小説を読んでみてください。私は何度読んでも号泣しました。

最近、NISA制度を活用する人が増え2022年9月末の証券口座数1,144萬口座となり2021年末と比べ3.2%も増加しています。世の中が資産形成に関心を持っている証拠だと思います。

NISAのイメージ画像

欧州では昔子供の誕生日に金貨を一枚プレゼントし子供に財産を残すといった風習があったそうですが、やはり資産形成は長期にわたるものだと言えます。宝くじが当たれば別でしょうが、、、

では長期とはどの位を指すのでしょうか?一年を長期と言えば一ヶ月は短期でしょう。更に五年を長期とみれば一年は?これでは何が長期か分かりません。米国の有名な投資家ウオーレン・バフェット氏はコカ・コーラの株を数十年も持っています。これを長期と言えば十年は短期になります。

十年一昔と言いますが今の時代の流れを見ると2年程でサイクルが変わっていると言えます。筆者は最近渋谷の駅に一年ぶりに降りましたがその変貌ぶりに驚きました。ハチ公前の待ち合わせでしたが駅を一回りし、たどり着くのに15分もかかりました。2年どころか渋谷は1年で変わりますね。

10年我慢するのは大変かもしれませんが、やはり十年は一つの区切りだと思います。しかし儲かると売りたくなるのが人間の常、なかなか長期で我慢して持つのは難しいものです。

先程の長谷川平蔵の言葉を借りると、『男という生き者は過去のことを忘れられず、将来のことを夢見て生き現在を考えていない生物』と言いたかったのではないかと?一喜一憂せずに夢見るのも資産形成の方法かもしれません。