バイプレーヤー

味噌汁の写真

1989年フジテレビ系で毎週水曜日夜8時より放映された鬼平犯科帳はこの時間帯に銀座のクラブからお客様がいなくなるといった大人気番組でした。最後にジプシーキングのインスピレーションと共に江戸四季折々の画面が流れるともう来週の番組が楽しみに!当時理想の上司は鬼平、長谷川平蔵であるといった本まで出版されるほどの勢いでした。

今年は鬼平犯科帳の作者池波正太郎氏の生誕100周年に当たります。池波氏の人気小説はこの他に、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安などがあります。仕掛人・藤枝梅安は600万部超えの大ヒットシリーズですが、今年も映画化されました。

ご存知のように池波氏は食通であり、各物語の中にも随所に料理の話が出てきます。今回の映画でも池波氏が愛した江戸料理を再現するため広尾の日本料理「分とく山」総料理長野崎洋光氏を招き料理を再現しています。

主人公藤枝梅安(豊川悦司)が味噌汁を食べる場面がありますが、このみそ汁の具は大根とです。味噌汁が煮立つと最後にネギの根っこを入れます。髭のあるねぎの根でこれが隠し味となるとのことでした。

日銀の第32代次期総裁が植田和男氏に決定しました。植田氏は過って日本銀行政策委員会審議委員で早見優総裁の基でゼロ金利政策や量的金融緩和政策の導入を支えた一人で東大で教鞭を執った学者肌の人です。

日本銀行の外観写真

黒田総裁の金融緩和策が継続されるのか利上げがあるかが注目の的でしたが、衆参両院の所信表明では「現在の日銀の金融政策は適切。緩和を継続して経済を支え企業が賃上げできる環境を続ける必要がある」と述べました。平たく言えば黒田氏の政策をそのまま引き継ぐことになります。

ところで黒田氏の『利上げではない利上げ発言』の後、市場ではイールドカーブコントロールなるものが盛んに言われました。イールドカーブコントロールは長短金利操作と呼ばれ長期金利と短期金利の誘導目標を操作するもので、日銀は2016年9月に長短金利操作付き量的・質的金融緩和の導入をしました。この長期金利操作の部分がイールドコントロールを指すといわれています。

黒田総裁発言でイールドカーブコントロールが話題となりネットなどで盛んにこのカーブの話が登場しています。日銀の政策が変わると登場するこのカーブの話は所謂知られてしまった隠し味的なものと言えます。今回の細田総裁の政策は量的緩和の踏襲であるためこの隠し味は出てきません。使う必要はないからですが、欧米各国でも使うこのカーブ今度話題になるのはいつの日でしょうか?

因みに映画、仕掛人・藤枝梅安で野崎氏が作った味噌汁は食べることなく梅安は出かけてしまいます。湯気しか見えない隠し味のみそ汁、美味しそうで名バイプレーヤーでした。日銀の政策も見えない隠し味で支えられているのでしょうが、新総裁に期待しましょう。