日銀総裁

菜の花の写真

『菜の花や 月は東に 陽は西に』これは江戸の三大俳人与謝野蕪村の有名な句で教科書にも載っていますから御記憶の方も多いかと思われます。蕪村は画家としても有名で絵画のような句を詠みました。この句はまさに代表作ですが、菜の花が咲く頃にこのような光景は見られるのでしょうか?

この句は旧暦の3月23日に詠まれたといわれていますが、この日にはこのような光景は存在しません。実際にこの光景が見られたのは、旧暦の3月10日から15日、今の暦でいくと、4月20日から25日となることが証明されています。最も今年は桜、菜の花も早く咲きましたが、、、菜の花の畑をバックに陽から月へと主役が移る春の日が目に浮かぶような名句です。

さて日銀の総裁が黒田総裁から植田総裁へと変わりました。日銀は4月27日から28日にかけて金融政策決定会合を開きそれに基づいて、植田総裁が就任後初記者会見を開きました。会見の内容は各ニュース番組で報道されました。

基本的には、2%の物価目標の達成に向けて粘り強く続けるというものでした。この発表によりドル円は約1円50銭の円安、ユーロー円はNY市場で一時150円台と2008年10月以来、14年半ぶりの安値、そして株価は年初来の最高値を付けました。

ドル円のチャート画像

そもそもこの日銀が目標としている2%の現状は予想長期金利の上限がしっかり押さえられている為、1%と予想されており、同様に市場参加者の予想インフレ率も1%前後、そして企業では1.6%を予想しています。

しかし連日の報道でもお分かりになるように、消費者物価指数(CPI)は5%をオーバーしております。CPIは各国が発表しますが、日本のコアCPIは生鮮食品を除いています。(米国は、生鮮食品とエネルギーを除く)最近のCPIの上昇はエネルギーや食料の価格上昇です。

日本はエネルギー、食糧を輸入に頼っている為ですが、賃金の値上げが追いついていかないのが日銀の物価見通しと国民の物価見通しの開きにつながっているのでしょう。

帝国データーバンクによると、主要な食品メーカー195社が5月に前年同月3倍の824品目を値上げすると発表しました。実際メーカーは大型連休前後の値上げを避けるためかなり控えめにしましたが、この反動で6月の値上は約3800品目に達するといわれています。これでも日本の物価は安いといわれていますがこれだけ値上げされるととてもそんな気はしません。

しかし外国観光客が増えている現状ではこれが世界観なのでしょうか? 植田総裁が1998年以降の25年間の緩和政策を検証するとコメントしたことも、分かるような気がしますが?