『さびしさに宿を立ちいでて詠むればいづくも同じあきのゆふぐれ』良暹法師
これは小倉百人一首七十番目の歌です。ご存知のように小倉百人一首とは飛鳥時代から鎌倉時代までの優れた100人の歌人の和歌を、鎌倉時代の初期13世紀前半に編纂された和歌集です。
百人一首の中には秋を詠んだ歌が数多くあります。有名な歌では落語の演目等にあり映画にもなった「ちはやふる」(映画の題名はちはやふるですが和歌はちはやぶるで始まります)でしょうか?『ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは』そもそも秋とはいつのことをいうのでしょうか?四季の区切りには4種類あります。
- 天文学上の四季(西洋)での秋は秋分~冬至(新暦9月23日頃~12月21日)
- 気候学上の四季(太陽暦)での秋は9月~11月
- 旧暦・節切りの四季での秋は立秋~立冬前日(新暦8月8日~11月6日頃)
- 旧暦・月切りの四季での秋は旧暦7月~9月(新暦9月~11月)です。
いずれにしても、10月は秋という事が言えると思います。しかし暑い10月でした。東京で言えば10月の後半に2日連続で夏日がありました。これは17年振り、半袖が必要となりました。日本人は季節で着衣を変える習慣があります。所謂、衣替えです。6月の始めと9月の始めに行われますが、とてもそのような状態ではありませんでした。いくら暑くても10月ですから半袖は抵抗がありませんか?
しかし観光で日本を訪れている欧米人は、半袖に短パンまるでバックパッカーのようで、気温で服を着ています。実に合理的な人種です。勿論高級ホテルに宿泊する人達もいますが観光を思いきり楽しんでいます。
観光客のなかにはブランド物を身に着け買い物が主体の人達もいます。銀座にある有名ブランド店は彼等に買い占められるため一人当たりの買い物数を制限しているようです。
そういえば過って高度成長期の海外へ行く日本人観光客もそうでした。戦後の円は固定相場で360円でした。この固定相場はその後、スミソニアンレート1ドル308円という時代を経て1973年2月より完全な変動相場制に移行しました。円は1ドル360円から120円に上昇し国際的にも強くなり日本経済は右肩上がりの状態が続いたのです。
振り返ってみて今はどうでしょうか?円はドルに対して150円といった時代です。10月は日銀の介入が150円であるのではとの話がありましたが、岸田首相は『急激な円安がない限り介入はない』と発言しました。そして10月末日、日銀の総裁発言を待って漸く動き出しました。勿論円は売られています。日本が売られているのです。
秋を読む和歌の中には『さみしさ』が登場しますが本当に『さみしさ』を感じる今日この頃の日本経済です。秋から更に冬に突入しなければよいのですが!?