真夏の風物詩の一つとしてお化け屋敷があります。そもそもお化け屋敷はいつからあるのでしょうか?興行としてのお化け屋敷は1830年までさかのぼります。現在の東京都大田区大森の医者、瓢仙が自宅の庭に一つ目小僧などを飾り観客を集めたのが始まりだそうです。
その後、両国回向院の御開帳でお化け屋敷のような見世物小屋があったといわれています。大正時代、昭和になると日本各地で見る人に恐怖感を与えるような演出がはやり、百貨店の催しなどに使われるようになりました。戦後は遊園地のアトラクションとして多く見られるようになり、演出もかなり凝ったものになってきています。
小説では小泉八雲の死の翌年出版された「怪談」の巻頭を飾る「耳なし芳一の話」があまりにも有名です。そして落語では「牡丹灯篭」、「四谷怪談」があります。又、歌舞伎では「仮名手本忠臣蔵」の外伝として描いた「東海道四谷怪談」がやはり人気でしょう。
いずれも背筋の凍るような演出により真夏の暑さを吹き飛ばす役目を果たしていましたが、ここ数年の暑さには幽霊のほうがびっくりしているのでは?因みに今年6月の博多座大歌舞伎では民谷伊右衛門を尾上松也が、お岩を尾上右近が演じ話題となりました。
7月に史上最高値を付けた東証の株価が週明けの8月5日に大暴落となりました。始値が35,249.36円で前日比2,000円以上のマイナスでスタートした平均株価は4,451.28円のマイナスで、終値は31,458.42円でした。日経平均の終値が4,400円を超える急落は1987年、ブラックマンデーの翌日に付けた3,836円を超える過去最高の下落でした。
「貯蓄から投資へ」の言葉は2003年におこなわれた投資減税からありましたが、今年は岸田首相が注進して始まった小額投資非課税制度(新NISA)の元年でしたが、その年の夏に襲った試練は個人投資家の背筋を凍らせました。
一般的には米国の景気減速懸念と円高が原因と言われていますが市場の流動性と投資家層の薄さが露呈した東京市場ともいえます。170円、200円まで行く予想されいた円はこれ以来140円台になり輸出業者の為替差益を圧迫すると思われて、それも株価を下げる原因と言われていました。しかし多くの業者は143円から145円に為替価格を設定しているので、為替差損は生じませんでした。
ご存じのように市場は売る人がいるから買う、買う人がいるから売るといった原理によって動いています。今回の急落は売る人がいても買う人がいない、そこでさらに値を下げて売りに出すがそれでもいないといった悪循環で、売りが売りを呼び、恐怖が恐怖を呼び投げり状態となりました。
下がるといった市場に出る幽霊に踊らされた1日のようですが、この幽霊を操作しているのは実は生身の人間です。お化け屋敷も裏で人間が操作しています。従って人間の欲と恐怖のために下がり続けた市場だったといえるでしょう。